【オムニバス授業】「笑って考える少子高齢社会とみなさんの未来」
- 東京大学大学院総合文化研究科の教授で、「ジェンダー論」を専門とされる瀬地山 角さんの講演会が実現しました。数年後に社会に出て世の中を担う生徒たちにとって、男女共同参画への問題意識を持ち、考え、発信していくことの大切さを実感する機会となったようです。分かりやすく楽しいトークで、笑顔いっぱいの時間となりました。
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- [瀬地山角さん]
- 奈良県出身。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了・学術博士。北海道大学文学部助手を経て1994年東京大学助教授。2009年より東京大学大学院総合文化研究科教授。NPO法人の理事として保育所の運営にも携わっている。
【働くという選択肢】
- ・女性の7人に1人は生涯未婚、離婚率は3割を超える。
- → 経済的自立のない人生設計は厳しい。
- ・結婚相手に求める条件として、男女ともに多く挙げられたのは、「家事育児の能力」と「仕事への理解」。
- ・「専業主婦になる」と思っている女性は7.5%、「妻に専業主婦になってほしい」と考えている男性は1割で、ともに少ない。
- ・出産後も正社員として働くと、定年までの賃金は少なくとも1億以上、2億を超える人も。宝くじを当てるようなもの。
- ・もし専業主婦になるなら、資格をとる等、戦略を考えるべき。
【家事育児の分担】
- ・男性の育休取得率は3%にとどまる。
- ・現時点で、男性の家事・育児時間は少なすぎる。
- → 出産以外の家事育児で男性にできないことは何もない。
- → 家事を「手伝う」のではなく、主体的に行動するべき。
- ・夫の産休をせめて忌引きと同程度には普及させるべき。
- → 家族の誕生ほどの大事件は他にはない。
- ・ パートナーとどのような関係を作り、どう分担するかが大切。
【男女共同参画とは】
- ・ 男女共同参画社会基本法の中で「性別にかかわりなく個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会」とされている。
- → 「男と女は違うけど平等」ということではなく、「性別にかかわりなく平等」ということ。個人差は性差よりも大きい。
- ・ 全ての人が性別から自由でなければいけない。
- → 男女の問題は、「平等」だけでなく「自由」が重要である。
- ・ 男が受ける差別もある。
【これからの働き方について考える】
- ・ 働き続けられる会社を選ぶ。
- → 初任給よりも30代の働き方が重要。子持ちの女性管理職の有無や女性の勤続年数については会社が公開している。
- ・ 家事育児を家庭内で分担して働くからには、女性にも経済的な責任や負担が生じるということは忘れてはいけない。
- ・ 皆さんは「2億円の当たりくじ」をすでに持っている。自分の可能性を信じて、パートナーとの関係を考えてもらいたい。
【生徒からの質問】
- <質問>男性の育休の取得率が低いのはなぜか。
- <回答>働く男性と企業と両方の側に責任があると思う。アンケートによると、育休を取得したいという人の数は過半数を超えている。法的にも従業員の育休申請は認めなければならず、その分の給料等も国が補てんすることになっている。制度は整っているが働く側も企業側も一歩を踏み出せずにいる。あとは行動にうつすだけなので、皆さんが働き、出産や育児をする時には、パートナーとよく話し合ってほしい。
- <質問>子育てしやすい会社をどのように選べばよいか。
- <回答>男性の育休取得者の情報は、『就職四季報 女子版』等にも掲載されているので参考にするとよい。
- <質問>社会に出る時に“女性だからできない”ということはあるか。
- <回答>何もない。現在社会におけるリーダーの男女比が違うだけで、女性でも活躍している人はたくさんいる。これからの時代、何も遠慮することはないし、何も怖がることはない。